SPECIAL CONTENTS
医療者のためのリーダーシップ30の極意
原著「Thirty Rules for Healthcare Leaders」の日本語翻訳版です。
<本書の特徴>
❶ 企業向けの書籍やMBA 関連の書籍で述べられるリーダーシップとは決定的に異なります.
医療現場を経験したことがある人でこその悩み,またそのリーダーが決まって遭遇する問題の解決法などを提示しています.
❷ 本書の最大の強みは,著者と翻訳者が同じ病院の現場で志を共有し,メンターとメンティーの関係であることです。
日本の読者にとってわかりにくいと感じた文章や内容は,何度もSaint 先生のところに足を運び,訂正し,場合によっては注釈や表を挿入しました.
❸ 本書はリーダーシップ・スキルの基本が学べる入門書です.
医療者にとって具体的な学びが得られます.巻末の参考図書リストとその解説も豊富であり,今後の進んだ学習も可能になります.
- Sanjay Saint・Vineet Chopra:著者
- 和足 孝之:翻訳
- 定価:2,500円+税
医療における不確実性をマッピングする
【監訳者のことばより】
世界は不確実性に溢れている.科学の進歩や医療の近代化は,不確実性を克服しようとする人類の歴史とも言えるかもしれない.しかし,それによって獲得した確率と未来予想性は,私たちの未来を明るく照らしただろうか?医療はますます高度に分化していく中で,このまま医療が進歩しても,救われない問題がじっとり横たわっているのではないかと感じている医療者は,実は多いように思う.
むしろ不確実性は人類の宿命であると同時に,人が人らしくあるために必須の要素とも感じる.私たちの人生や未来の社会が100%予測可能なものであったら,これほどむなしいものはない.
本書はそういった不確実な医療現場を正面から見つめ,不確実性を抱える患者への優しさに溢れている.家庭医療を志す者にとっては必須のスキルを提示してくれるであろうし,真摯に患者の困難と向き合う医師にとってはまたとない助け舟となるだろう.
翻訳は,鳥取にゆかりのある家庭医を中心に,共に学ぶ中で本書の話題が出たことに端を発し,鳥取,静岡の家庭医有志の協力を得て行った.
不確実性と向き合う医療者を後押ししてくれる本書を生み出してくれた著者のAvril Danczak 氏,Alison Lea 氏,Geraldine Murphy 氏に心より感謝すると共に,日本語にするために力を砕いてくれた訳者の皆さん,そして締め切り迫る中,優しくサポートし続けていただいたカイ書林のみなさんにも厚く御礼を申し上げたい.
- 朴 大昊・金子 惇:監訳
- 定価:4,000円+税
新型コロナウイルス対策を診断する
【著者のことばより】
新型コロナに対して日本はウイルスPCR検査という、ウイルス感染症での最も基本的なテクノロジーの普及に遅れた。それだけでなく、「検査をすると医療崩壊を招く」、「検査の感度と特異度がよくない」などと検査を不当に批判してきた。
その人々への処方せんは、コロナ対策の正しい診断を伝えることだ。著者はさまざまなメディアを通して、最新の科学と倫理からみて正しい対策とは何かについて伝えてきた。今回、これらを本書にまとめて出すこととした。
- 徳田 安春:著者
- 定価:1,500円+税
筒井孝子論考集 地域包括ケアシステムの理論と政策
著者のことば
本書は,2010 年代にその構築が本格化していった地域包括ケアシステムという,社会保障制度における新たな政策的,経営的,実践的な提案に対して,その背景となった理論や実態,実践等を分析した2014年から2018年に発表した論考等で転載の許可を得た一部の論文や,講演録等を集めたものである.
具体的には,地域包括ケアシステムに関する政策を支えた国内外の理論として,とくにintegrated care に関する論考を中心としたⅠ 部に続き,Ⅱ 部では,わが国,独自の地域包括ケアシステムの経営に関する内容として,多職種連携や,国と地方との役割分担やその実施体制に関わる課題としての市町村の保険者機能のあり様を取り上げ,論じている.
また,実践レベルの議論として,新しい役割主体として期待される団塊の世代におけるセルフマネジメントサービスの推進や,増大しつつある認知症患者のBPSD 悪化を予防するため実践的な方策等を含む論考を収載している.
続くⅢ 部では,一般の読者に向けた新聞や雑誌に掲載した短い論説や随想を集め,Ⅳ 部では,医師,歯科医師,看護師,社会福祉士等の社会サービスの提供に関わる専門職に対する講演録を掲載している.
これらの内容は,先進諸国が推進してきたintegrated care をcommunity based care を基盤とした市町村という行政主体が主導するという,世界でも稀な様態を採ったシステムに,日本流のmanaged care をいかに導入できるのか,また,このシステムは,今後,どのような発展を遂げるのか,といった現在と未来について述べている論考が含まれている.
(中略)
我々は,今こそ中長期的な視野に基づいた慎重な議論をし,与えられた地域包括ケアシステムではなく,真のボトムアップ型のシステム構築を目指さなければならない.もちろん,これには,一人ひとりの行動変容も求められることになるだろうが,道標が全くないということでもない.
本書に収載した地域包括ケアシステムに関する論文には,これから市町村がいかにして,情報収集能力を高めていくか,あるいは,地域での生活基盤を強固にするための専門職の多職種連携による協働や,現場での臨床的統合をどのように進めていくべきかを示した方策が述べられている.
これらは,新常態における医療や介護,そして,生活支援サービスの提供体制をどのように構築すべきかを示したものであり,参考にして頂ければ,幸いである.
- 筒井孝子:著者
- 定価:5,000円+税
医師が沈黙を破るとき
著者のことば
「2017年から沖縄にもどり、その視点で同時代をみると、平和を考えることは医師にとり重要であるとわかってきました。医師にとって最も重要な資質は共感力と慈悲の心である、と若い医師や医学生に話しています。また、医師だけでなく、みんなが他の人々への共感力と慈悲の心を必要としています。個人や地域、国が平和で繁栄するためには、お互いの歴史を知り、その人々への共感力と慈悲の心を高めて維持することが必要です。この本で多くの人々が平和を考えるきっかけになれば幸いです。」(本書プロローグより)
- 徳田安春:著者
- 定価:1,500円+税
日常診療の中で学ぶプロフェッショナリズム
Understanding Medical Professionalism
本書は、プロフェッショナリズムの枠組みを根本的に組み替えることを通じて、日々の診療の中で最善のケアをいかに提供するかを示した画期的なテキストです。
- W. Levinson et al
- 宮田 靖志・ 小泉 俊三:編著
- 定価:4,000円+税
家庭医療の質:診療所で使うツールブック
Quality in family practice Book of Tools
監訳者のことば
著者であるCheryl Levitt 氏からの快諾を得て、わが国の診療所のために翻訳をすることを決意した。
北海道家庭医療学センターの若き家庭医たちの情熱的かつ献身的な作業を始め、多くの人々の膨大な助力により本書の邦訳が完成し、ここに上梓することができた。本書が、十万以上存在するといわれるわが国の診療所、特にプライマリ・ケアを提供している診療所において活用されることを期待する。
そして、多くの診療所が住民の信頼を得て、やはり診療所は必要な存在であると、だれもが即答できるようになることができれば、それは監訳者として望外の喜びである。(監訳者 松村真司)
- Cheryl Levitt・Linda Hilts:著
- 日本プライマリ・ケア連合学会・翻訳チーム:訳
- 松村真司・福井慶太郎・山田康介:監訳
- 安藤高志・榎原 剛・加藤光樹・草場鉄周・佐藤弘太郎・中川貴史・中村琢弥・成島仁人・八藤英典・平野嘉信・松井善典・松田 諭・宮地純一郎・村井紀太郎:翻訳(五十音順)
- 定価:4,000円+税
Phrase-book for care-givers 医師・看護師の英語フレーズブック
ポケットサイズの英語フレーズブック
The New England Journal of Medicine編集長Jeffrey M. Drazen氏推薦のことば
医者に話をすることは自国語でも難しい。病気になり、しかも自国から遠く離れているということがどんなことなのか、想像して欲しい。英語の知識は十分でも、患者が言おうとしている本当の意味を理解できない医師に、病気の核心を伝えることはできないだろう。患者に最善を尽くすために、私どもは明確な意思の疎通を図らなければならない。たとえば、病歴をとる際の医師の質問の仕方や医療従事者の反応は、恐らく無意識のうちに、意図しない不快感や困惑を引き出すかもしれない。このような溝を埋める一助として、著者らは日本の医療従事者のために、この臨床フレーズブックを作成した。
この本は、医師と看護師が患者と関係を築く際の、新たな実用的ツールになるものと思う。この本は、上手に意思伝達をするのに必要なニュアンスを出すため、直訳を避けている。従って、厳密な英訳ということよりは、日英両語の該当表現に重きを置き、慣用的な日本語の言い回し(フレーズ)を多数掲載した。しかも、ポケットにピッタリ収まるよう、サイズを小さくしてある。巻末には、詳細な索引をつけて本文を参照しやすくしている。
私は、冒頭に述べた問題が、日本における外国人の治療に特有な問題ではないことを、強調したい。誤った伝達、それによってもたらされる患者ケアと管理の質の低下は、世界規模の問題であり、社会がグローバル化し続ける中で、今後益々そうなっていく可能性がある。医療従事者と患者間の、一方的な判断をせず気配りのある、文化の違いに配慮しつつ交わされる会話の促進は、われわれすべての重要な目標である。この本が、意思伝達上のこの窪みを埋めることに寄与するとすれば、日本のみならず他文化の国々や地域にとっても、一つのモデルになる可能性を期待してもよいように思う。
私はこのフレーズブックを推薦する。そして、日本におけるこの本の活用がどのように患者ケアの改善に役立っているかについての知らせを、楽しみにしている(訳:佐藤 忍)
- 佐藤 忍・James P. Butler:著
- 定価:1,500円+税
Inner Consultation 内なる診療
総合診療に興味を持っている医学生・卒後臨床研修医にとっては、総合診療医というキャリアを真剣に考える上で、この本はその生き生きとした楽しさを伝えてくれる。また、総合診療をまさに学ぶ途上にある若手医師にとっては、明日からの診療で何を目指すべきかがより明確になるであろう。そして、ベテランの総合診療医にとっては自らの診療を振り返るための指針を得るきっかけとなり、指導医にとっては把握しづらい医療面接教育の手順が自然と見えてくるはずである。この本が日本の総合診療にとっての一つの基盤となり、多くの医師の診療の質の向上、そして診療を受ける患者の幸せにつながることを心から期待したい。(監訳にあたって 草場鉄周先生)
- 草場鉄周:監訳
- 定価:4,000円+税