「新・臨床高齢者医学」シリーズ② たのしい緩和ケア・面白すぎる在宅ケア
- 宮森 正:著
- 定価:2,800円+税
- 2014年5月20日発売 A5 185ページ
- ISBN978-4-904865-16-3
目 次
- 序に代えて
- 宮森 正 vs 藤沼康樹
- Ⅰ たのしい緩和ケア
- 1. Introductionたのしい緩和ケア 「生きていてよかったと思えるケアを提供しよう.」
- 2. たのしい緩和ケア・面白すぎる在宅ケア 「緩和ケアは,人生経験.在宅ケアは,異文化交流.」
- 3. 緩和ケアはQOL を優先する 「クオリティーはリスクを超える.」
- 4. DNAR 対応だったはずの家族が心マを始めている!
「家族の怒りには,理由がある.家族のスピリチュアルペインをケアせよ.」
- 5. もう,がんや老衰の終末期に,挿管や心マッサージなどのパフォーマンスは,やめよう
「DNARにしますか,延命にしますか,
どちらにもしますよ仰せの通りにと,患者や家族に聞いてはいけない.」
- 6. コミュニケーションは難しい
「首を振って頷いて聞いている患者も家族も,事態を本当に理解しているとは,簡単に思うな.」
- 7. 家庭的苦痛とは何か
「家庭的苦痛を理解するには,人の心の綾を読み解いていく,繊細さが必要だ.」
- 8. 緩和されない家族のスピリチュアルペインが,患者と医療者を追い詰める
「怒りの矛先になっても,常に平常心を失わない者だけが,危機を回避できる.」
- 9. 急に患者の性格が変わった場合は,脳転移に注意せよ
「急に怒りっぽく,精神的に不安定になった場合は,脳転移を疑う.」
- 10. 激越うつ病 「私は,うつです,と言って来る患者は,少ない.うつは症状から見極める.」
- 11. 混乱の鑑別と治療
「混乱をみたら,まず,せん妄, 脳転移,激越うつ病,アカシジアを鑑別せよ.」
- 12. 余命の予測は,難しい,人によっては,罪作りなことになる
「人は,希望の動物」「ヒトは,何の希望もないところで生きていくことはできない.」
「真実の告知は,トキとヒトを見て,モノを言え.」
- 13. IDAS で,QOL のトレンドを知る 「生きていてよかった事と辛い出来事から人生を知るIDAS.」
- 14. オピオイドローテーションの注意
「経口モルヒネ60mg→フェンタニルパッチ4.2mg/3日分が定説.
しかし,フェンタニルパッチ4.2mg/3日分→経口モルヒネ30mg へ変換が安全.」
- 15. がん患者のうつ
「がん患者のうつは,落ち込んだうつ状態ではなく,
イライラとした焦燥感のつよい「イラうつ」が多い.不安は,患者全員にあると思え.」
- 16. オピオイドの効かない痛み 「チリチリピリピリ,オピオイドが効かない痛み,神経障害性疼痛.」
- 17. 効かない薬をどんどん増やしてはいけない
「何でもかんでも,オピオイドの増量で済まさない.
眠いばかりで,痛みは,取れず,パッチペタペタ貼りすぎ注意.」
- 18. ヒトが生きるための希望とは何か
「ヒトは,希望の動物」(昭和34年経済企画庁年次世界経済報告)
- 19. 胃瘻は止められるのか
「延命治療の中止は,独断専行するな,チームと倫理委員会で」
「在宅看取り家族には,24時間の全面的な支援を」
- 20. 鎮静を勝手にしてはいけない
「医師の単独判断で勝手に深い鎮静を行ってはいけない.
すべてはオープンに,患者家族と医療チームと共に手順に沿って決めること.」
- 21. 嚥下障害の高齢患者 「嚥下障害から始まる,延命か非延命か,老衰期の問題.」
- 22. 気難しい家族(Difficult family)との付き合い方
「家族への病状説明は,同じ話を何百回でもする覚悟で説明せよ.」
「気難しい家族は,多職種チームで対応.」
- 23. 気難しい患者 (Difficult patient)を理解する
「人の心と行動は,人である限り,必ず想像できるはずだ.」
- 24. 急性期から終末期までの経過を診る
「患者は病から逃れられない.急性期から慢性期,在宅,終末期まで寄り添って
主治医を務める研修が必要だ.」
- 25. 医療不信を超えて
「手順通りに行って発生した合併症や偶発症は,犯罪ではない.」
「信頼関係の再構築は,隠し事のない情報開示から始めるしかない.」
- 26.緩和ケアでよく使うオピオイドの使い方 「激しい癌性疼痛の鎮痛は,モルヒネで勝負する.」
- Ⅱ 面白すぎる在宅ケア
- 27. 入院すれば,良くなるという幻想を捨てよう
「早期発見,早期治療で,入院よりも安全楽勝な,在宅治療.」
- 28. お爺さんは,病院がきらいだ
「お爺さんは,酸素マスクと経鼻チューブとバルンカテと座薬と抑制が嫌いで,
自分の家と奥さんのご飯が一番大好きだ.」
- 29. ナラティブ・メディスンとエスノグラフィー介護家族を質的に評価するとは
「ナラティブに,歴史と人生を理解する.エスノグフィーは,地域や家庭という小宇宙で,
人はどのように生きて死んでいくのかを理解する.」
- 30. 介護力とはなにか 「介護力とは,患者・家族・地域社会の構造.」
- 31. 介護不全とはなにか 「介護力には,介護不全という構造と病態がある.」
- 32. 患者の家族を量的に評価するとは
「在宅ケアは,家族・家庭・ケアマネと主治医のキャパに依存する.」
- 33. 在宅ケアの限界家族 「在宅ケア限界家族では,介護不全の発生に注意.」
- 34. 在宅で最期を見送る構え
「在宅看取りは,一人の人間存在を送る,覚悟と構えが必要である.」
- 35. 仏壇は,日本人の死生観 「仏壇と遺影で知る一族の物語と死生観.」
- 36. 老衰患者の行き先
「嚥下性肺炎は,倫理的,QOL,社会的,家庭的,介護的に重大な問題を背後に控えている.」
- 37. 老衰終末期の輸液をどうするか 「在宅皮下点滴は,高齢化社会を救う.」
- 38. 看取りという文化 「在宅看取りとは,家族が生と死に向き合う文化.」
- 39. 24時間対応,いつでもオンコール対応が在宅医療の基本
「介護家族の観察力を信じよ.」
「患者家族の要請には,直ちに応えよ.」
- 40. 愛される要介護者になる秘訣―特に男性諸兄に
「愛される患者になるためには,ありがとう・おいしい・ごちそうさまの3語を忘れずに発する.
他の言葉は,忘れてよい.」
- 41. 地域包括ケアの時代に向かって当たり前であるが,再度確認しよう.
今では、余りに忘れられてしまった重い言葉.
「主治医は,最後まで患者に責任を持つ.」