Phrase-book for care-givers 医師・看護師の英語フレーズブック
- 佐藤 忍・James P. Butler:著
- 定価:1,500円+税
- 2014年6月10日発売 A6変形 108ページ
- ISBN978-4-904865-15-6
著者のことば
序文 佐藤忍
都市のみならず地方でも、英語を話す外国人患者を診察する機会が増えている。そんな中、私は、宮城県塩釜市で、冷や汗をかく経験をした。これが、このフレーズブック編纂の契機となった。そのとき私は、英国から来ていた高校の英語教師を診察した。胸部を聴診した後、背部の聴診のため“Turn your back on me, please.”と言った。「背中をみせる」の訳語として、辞書から得たフレーズだった。患者は何も言わず後ろを向いてくれ、私は目的を達した。後日、このブックの共著者であるButler氏から、これは、相手に背を向ける、つまり不満や不服従などを表す不穏当な表現であると知らされた。失敗の理由はもちろん、私が訳語を十分吟味しなかったことにある。しかし、もし、あの辞書が、外国人患者と日本人医師のコミュニケーションを助ける「穏やかな表現」に重点を置いて編集されていれば、”turn around”がでてきたのではないかと思う。
①このフレーズブックは、この種の失敗が少なくなることを願い「穏やかで、砕け過ぎても硬すぎてもいない英語表現」を第一のコンセプトとして作った。
②また、市販の多くの臨床英会話本には、索引がない。あったとしても、索引から自分の知りたいフレーズに到達するのが困難なことが多い。このブックでは、助詞や接続詞を含むフレーズも索引ページに載せた。Native speakerの言い回しに、できるだけ速く到達できるよう、索引を充実させる、これが第二のコンセプトである。
③第三のコンセプトは、医学用語を極力使わず、巷の日本語を巷の英語で言い表すことである。この小冊子が「外国人患者との、穏やかで偏らないコミュニケーションスキル」を求めている多くの医療スタッフの役に立てば、望外の喜びである。