新・総合診療医学
新・総合診療医学 Case & Review
編集者のことば
旧日本家庭医療学会編集委員を経て日本プライマリ・ケア連合学会誌の編集委員となり、「何か実地で診療に勤しむ学会員の役に立つコーナーを」という要望と、かねてからAmerican Family Physician誌を手本とした学会誌からの生涯教育情報の発信を実現したいという想いを合わせる目的で、2010年から「臨床医学の現在(プライマリ・ケアレビュー)」を企画、編集、出版してきました。総合診療の現場で必要とされるエビデンスを盛り込んだ標準診療をわかりやすく学会員に届けるという目的はある程度達成されたように感じています。2013年までの連載で本総説は23編となり、このたび症例を交えた対談を筆者と編集者で行い総説本文を補足する形で加筆し一冊の本にまとめました。「総合診療医の標準的な診療のまとめ」として、さらに「総合診療専門医の標準的診療の学習教材」としてお届けするものです。総説は学会の内外でその分野に深く精通する先生方に大変ご苦労をおかけしながら執筆していただきました。改めてここに深くお礼申し上げます。(小嶋 一)
- 小嶋 一・本村和久・井上真智子:編集
- 定価:3,000円+税
新・総合診療医学 診療所 総合診療医学編 第3版
監修のことば2012年2月に新・総合診療医学の第1版がリリースされてから,7年が経過しました.
当時としては,かなり挑戦的で荒削りな企画であった第1版は,幸運にも「赤本」の愛称のもと,幅広い世代に多くの読者に恵まれることになりました.そして,様々な建設的なご意見やご提案をいただきながら第2版,第3版と改訂を進めることができたことは,読者の皆様の支えによるものであり,編集代表として感謝の極みです.
この間,日本専門医機構が設立され,総合診療専門研修制度が立ち上がるなど,総合診療をめぐる多面的な動きが多くありました.総合診療医がこれからの日本のヘルスケアシステム,あるいは地域包括ケアの充実のための重要なキーの一つであることは,間違いない状況といえます.しかし,総合診療がその学問的独自性を主張することについては不十分です.その問題解決に寄与すべく編集や改訂を進めてきましたが,まだまだ道半ばであろうという思いにかられるほど,総合診療の学問的射程は広く深いのです.
この「診療所総合診療医学編」の取り扱う領域群は,地域プライマリ・ケア外来診療と在宅診療において,それらに卓越するためにはどのような知識や技術が必要なのだろうかという問いに答えようとするものです.少なくとも内科学などの既存の臨床医学分野でカバーしていない広大な領域がそこにあるのだということは提示できていると思います.
また総合診療に関する言説にありがちなシニシズムやルサンチマン,あるいはアクロバティックな論理展開,レトリックの多用はできるだけ避け,ストレートでポジティブな打ち出しをするという編集方針は,この第3版でも貫けていると自負しています. 若い専攻医や学生に読んでいただきたいということはもちろん,地域のベテラン医師やこれから総合診療の道に入ろうとしている,すでにキャリアのある医師のためのブラッシュアップにも役に立つ内容になっていると思います.また,今後プライマリ・ケアの現場での活躍が期待される看護師,あるいは診療看護師(ナース・プラクティショナー)にとっても良い学びが得られるでしょう.
今回3名の若い編集委員をあらたに迎え,新しい書き手の方々のピックアップを心がけたことにより,フレッシュな新版となっています.あらためて,これまでこの書籍の作成に寄与してくれた多くの皆さんに感謝の意を表したいと思います.
2019年3月
藤沼 康樹
- 藤沼康樹:監修
- 栄原智文,関口由希公,山田歩美:編集委員
- 定価:本体7,000円+税
新・総合診療医学 病院総合診療医学編 第3版
監修のことば
総合診療医学の教科書のうち,病院総合診療医学編(青本)の改訂第3版が世に出る.
嬉しいことである.これも熱心な読者の応援に依るところが大きい.監修者を代表してたいへん感謝する次第である.
今回の改訂では,若手総合診療医が中心となって全面改訂を行った.全体のコンセプトから,項目立て,そして各項目のフォーマットなどまで,
全てについて若手医師の意見を取り入れた.本書は,医学生から研修医,総合診療専攻医,内科専攻医,コンバート医師(各科専門から病院総合診療医に転向した医師)など,
比較的初学者を対象とする.若手医師の目線で改訂を行なったことにより,今回の改訂第3版が,読みやすく,わかりやすい,実践的な教科書になってくれていると信じる.
- 徳田安春:総監修
- 定価:7,000円+税