コンソーシアムブックシリーズ
②対話篇 ジェネラリスト教育原論
私たちは「ジェネラリスト教育コンソーシアム」を設立し活動しています.本コンソーシアムを2011年にジェネラリストを目指す人たちのTeachersの会として設立しました.ジェネラリストが押さえておくべきミニマム・エッセンシャルや日々の実践に有用な診療,教育指針を議論する場(コンソーシアム)を,このコンソーシアムで提供しようと実践しています.このコンソーシアムでは,臨床医学における世界最先端のトピックについて時代のうねりに斬り込んだ,ディープな議論を世に問うためのムックシリーズを出版しています.最近,総合診療をテーマにした出版物は多い半面,時代の流れを俯瞰し,かつ新たな課題に挑むための軸となる,ジェネラリスト教育の原論が求められています.私たちは,この機会に,対話を通して,現状を見据え,かつ提言を行いたいと思いました.
- 藤沼康樹:著/医療福祉生協連家庭医療学開発センター、千葉大学専門職連携教育研究センター
- 徳田安春:著/JCHO 本部総合診療顧問
- 定価:2,800円+税
①僕の内科ジェネラリスト修行
大学病院勤務の腎臓・リウマチ専門医であった杉本氏が,地域の中核病院に総合内科医として出向し,ジェネラリストになるべく悪戦苦闘している日々をまとめた実践記録である. 腎臓は「全身の状態を写す鏡」と言われ,またリウマチ・膠原病は全身を犯す疾患であることより,元来から総合的な視点で診療にあたっていた.出向当初は,総合内科医として勤務することにあまり苦労しないのではないかと考えていた.しかし,大学病院の領域別(臓器)専門医が考える総合的な診療と,地域の中核病院の総合内科医が,初診・時間外・救急外来において行うあらゆる疾患に対応する内科診療はまったく異なるものであった.当初,初診外来における咳嗽の対応でさえどうすべきか解らなかったのだ.common disease と称される疾患群に対する経験値の低さが問題であった.自分自身を再教育するため,「なぜ自分は診断できないのか?なぜ自分は誤診するのか?」ということへの対策と取組や,インターネットや個人用携帯端末(personal digital asistant : PDA)の積極的な活用の仕方.さらには医局や外来,病棟において容易にネットを介して情報を得ることが出来るクラウドシステムの構築に至るプロセスなど,多岐にわたる取組が記されている.今後地域の病院に出向する若い内科医の先生方や,領域(臓器)別専門医として勤務された後に一般内科医として開業される先生方に,どのような勉強をすべきか有用な情報が網羅されている1冊である.
- 杉本俊郎:著/滋賀医科大学総合内科学講座(地域医療支援)准教授
- 定価:2,800円+税