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「日常診療ツールキット」シリーズ① 内科医の自己学習ツールキット

「日常診療ツールキット」シリーズ① 内科医の自己学習ツールキット

  • 杉本俊郎:著
  • 定価:2,000円+税
  • 2020年5月29日 第1版第1刷 A5判 100ページ
  • ISBN978-4-904865-52-1 C3047

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著者のことば
 大学附属病院の腎臓内科・リウマチ専門医から,地域の中核病院の総合内科医(小生は,何でも内科医と呼んでいる)に転身してから約9 年が経ちます.転身当初は,“長引く咳嗽”や,“急激に発症した腹痛”等の対応に右往左往しましたが,最近はなんとかそれなりに対応できるようになってきたと思っています.これらの経験は,私の前著である“僕の内科ジェネラリスト修行”としてまとめることが出来ました.
 55 歳前後という“医師としての寿命の終活期”を迎えたここ数年は,これまで自分が専門としてきた腎臓内科領域の一つである”水電解質・酸塩基平衡異常”に関しての総説・単行本の執筆,日本腎臓学会のメーリングリストへの投稿,学会・講演会での発表等の“アウトプット”を行っています.
 総合内科医への転身当時は,内科の全領域に関する著作・総説論文を乱読するといった“インプット”中心の学習を行ってきました.しかし,このような“インプット”中心の学習では,学習した内容が知識として定着しづらいことに最近悩むようになってきました.ここ数年の“電解質異常”に関する私の活動から,“アウトプット”目的とした学習の方が,“インプット”中心の学習と比較して,より深く,より効率よく(より短期間),より楽しく学習ができることに気づきました.
 平成の終わり頃から,我国において「働き方改革」が広く提唱されるようになってきました.この「働き方改革」は,我々臨床医も例外ではありません.医療安全を最も重視する立場から,私が考える「働き方改革」は,「睡眠時間を確保する」という改革です.「睡眠時間の確保」のためには,仕事の時間と生涯学習に費やす時間を削減する必要があると考えています.私は,厚生労働省の諮問委員会での医師の働き方改革の議論や,現在施行されている新規専門医制度は,「睡眠時間を確保する」点を考慮しているようには思えず,現状を危惧しております.
 以上のことより,医師として30 年以上の経験のある50 歳を超えた我々が“アウトプット”を行うことは,自分達の経験等から得た知識等を後進の若い医師達へ伝達・共有するのに役に立つのみならず, 自分自身の効率の良いcontinuing medical development につながり,学習時間の短縮から医師の働き方改革にも有効ではないかと考えるようになりました.
 このような私の思いをカイ書林の尾島氏にメールで伝えたところ,本書を“僕の内科ジェネラリスト修行”の続編として出版させていただくことになりました.私は,医学教育に関してはずぶの素人であり,本書の内容は,学問的には稚拙かもしれません.しかし,臨床医が,最も親しみを持ち,且つ,理解しやすい論文は,エビデンスのレベルが低いとされる症例報告とされています.本書を,50 歳を超えてから,地域の中核病院で総合内科医として働く必要に迫られ,右往左往している元腎臓専門医に関する症例報告として読んでいただければと思います.

目 次

  1. 1 領域別臓器専門内科医にも,ジェネラリズムが必要である
  2. 2 ジェネラリズムの獲得のための“インプット”中心の勉強には限界がある
  3. 3 “アウトプット”を意識した勉強は楽しく,かつ質が上がることを自覚した.
  4. 4 臓器専門内科医にとって,“アウトプット”を意識した勉強とは.
  5. 5 “アウトプット”を意識せよと言っても,もうすでに発表されているのではないですか?
  6. 6 “アウトプット”を意識せよと言っても,どこで発表せよというのや?
  7. 7 まず,自分への“アウトプット”を始めよう.
  8. 8 ICT時代,働きかた改革時代の,“アウトプット”の共有方法とは
  9. 9 おまけ 私の“アウトプット”環境の紹介
  10. Appendix 1 臓器専門内科医のジェネラリスト化・総合内科医化は可能か?―地域中核病院における9年間
  11. Appendix 2 自己学習に役立つツールの紹介
  12. Appendix 3 内科医の自己学習(continuing professional development;CPD) に役立つための,日常生活のアドバイス
  13. Index

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