Mapping Uncertainty in Medicine
医療における不確実性をマッピングする
- 朴 大昊・金子 惇:監訳
- 定価:4,000円+税
- 2021年7月27日 第1版第1刷
- ISBN978-4-904865-58-3 C3047
【監訳者のことばより】
世界は不確実性に溢れている.科学の進歩や医療の近代化は,不確実性を克服しようとする人類の歴史とも言えるかもしれない.しかし,それによって獲得した確率と未来予想性は,私たちの未来を明るく照らしただろうか?医療はますます高度に分化していく中で,このまま医療が進歩しても,救われない問題がじっとり横たわっているのではないかと感じている医療者は,実は多いように思う.
むしろ不確実性は人類の宿命であると同時に,人が人らしくあるために必須の要素とも感じる.私たちの人生や未来の社会が100%予測可能なものであったら,これほどむなしいものはない.
本書はそういった不確実な医療現場を正面から見つめ,不確実性を抱える患者への優しさに溢れている.家庭医療を志す者にとっては必須のスキルを提示してくれるであろうし,真摯に患者の困難と向き合う医師にとってはまたとない助け舟となるだろう.
翻訳は,鳥取にゆかりのある家庭医を中心に,共に学ぶ中で本書の話題が出たことに端を発し,鳥取,静岡の家庭医有志の協力を得て行った.
不確実性と向き合う医療者を後押ししてくれる本書を生み出してくれた著者のAvril Danczak 氏,Alison Lea 氏,Geraldine Murphy 氏に心より感謝すると共に,日本語にするために力を砕いてくれた訳者の皆さん,そして締め切り迫る中,優しくサポートし続けていただいたカイ書林のみなさんにも厚く御礼を申し上げたい.
目次
- 前書き viii
- 序文 x
- 著者について xiv
- 謝辞 xv
- 推薦のことば xvii
- 監訳者のことば xviii
- 翻訳者一覧(五十音順) xix
- 第1章 医療における不確実性 1
- 1 医療現場で不確実性について考える 4
- 2 この本の使い方 9
- 第2章 医療の不確実性をマッピングする 19
- 分析象限 20
- 3 分析象限における不確実性の紹介 23
- 4 分析象限における不確実性への使える解決法 37
- 5 分析象限における不確実性の臨床現場,評価,教育方法 61
- ネットワーク象限 67
- 6 ネットワーク象限における不確実性の紹介 69
- 7 ネットワーク象限における不確実性への使える対処法 76
- 8 ネットワーク象限における不確実性の臨床現場,評価,教育方法 96
- 交渉象限 100
- 9 交渉象限における不確実性の紹介 102
- 10 交渉象限における不確実性への使える解決法 106
- 11 交渉象限における不確実性の臨床現場,評価,教育の方法 133
- チームワーク象限 136
- 12 チームワーク象限における不確実性の紹介 138
- 13 チームワーク象限における不確実性への使える解決法 144
- 14 チームワーク象限における不確実性の臨床現場,評価,教育方法 168
- 第3章 不確実性の心理学をマッピングする 173
- 15 不確実性に対する臨床医の反応を支える心理学的テーマ 176
- 16 分析,ネットワーク,交渉,チームワークの象限に対して不確実性の心理学をマッピングする 189
- 第4章 医学教育における不確実性をマッピングする 211
- 17 不確実性に対処できるよう医師をトレーニングする 214
- 18 医療における不確実性のマップを使って評価する 222
- 19 不確実性のトレーニングにおける教育的手法 230
- 20 研修における不確実性の教育的スキル 240
- 21 不確実性について学ぶ 253
- 第5章 患者目線の不確実性について探索する 265
- 22 患者における不確実性のインパクト 269
- 23 患者目線から不確実性のマッピングをする 279
- 24 終章:不確実性を抱えながら 304
- 索引 313