哲学するAIと歩む新・医学概論―続・勤務医の働き方改革
「計算はAIに、決断と責任は私に。」
総合内科医がカント・レヴィナスと歩む、AI時代の新・医学概論。
【内容紹介】
AIが進化すれば、医師は楽ができるようになるのか?
本書はその「安楽なソファ」としてのAI活用を真っ向から否定します。
AIという「規定的判断力」の巨人が診察室に座る今、医師に求められるのは、目の前の患者という「特殊」から未知の普遍(診断)を導き出す「反省的な判断力」の負荷に耐えることです。
AIは医師を怠惰にするツールではなく、知性を鍛え上げるための「ムチ」なのです。
本書は、滋賀医科大学総合内科教授である著者が、生成AI(Gemini)と3日間にわたる濃密な「思考の壁打ち」を経て書き上げた、全く新しい医学哲学の実践書です。
カントの『判断力批判』やレヴィナスの「顔」の倫理を補助線に、診断学、臨床倫理、そして診療録(カルテ)のあり方を根底から再定義します。
【本書のポイント】
- 「倫理診断学」の提唱: 倫理的問題を単なる「相談」ではなく、臨床症状と同様の「鑑別診断」として扱う、極めて実践的な新概念を提示します。
- 診療録の再定義(Chart as Casuistry): カルテ記載を単なる事務作業から、未来の自分や同僚を救う「生きた判例(カズイストリ)」の構築へと昇華させます。
- 「身体性の復権」: 膨大な知識検索をAIに委ねることで、医師は再び患者のベッドサイドへ戻り、失われつつある身体診察スキル(ハイポスキリア)を克服する自由を手に入れます。
- 日米の倫理観を比較: 契約を重視する米国流と、関係性や「空気」を重視する日本流の倫理的アプローチを多角的に分析します。
【推薦の言葉】
「AIが医療を変えるのではない。医療者がどのような価値観と哲学をもってAIと向き合うかが、これからの医療の質を決める。AIとともに歩む医療の未来を考えるすべての医療者に、本書を強く推したい。」
―― 徳田安春 先生(群星沖縄臨床研修センター)推薦!
目次
目次
著者のことばii
著者略歴vi
本書を推すvii
Part 1 Deep Thinking 時代の判断力批判1
Introduction2
Chapter 1 哲学的概念とAIとの協働で行う新たな診断学の開発6
Chapter 2 症例から脱構築した事例をAIと検討19
1:認識の限界(カント的転回)19
2:判断の作法(現象学的還元)57
3:他者への責任(倫理的非対称性)82
Chapter 3 AI協働による倫理診断学92
1:なぜ「新語」と言えるのか?(既存概念との違い)92
2:この新語の学術的・臨床的価値93
3:今後の展開:定義の確立に向けて93
Chapter 4 提案:AI協働診断用「構造化プロンプト」の開発97
1:AIへの指令書(ドラフト案)97
2:ツール化AI協働による倫理診断学・実行プロンプト98
Part1の終わりに109
Part 2 Deep Thinking 時代の臨床倫理専門家111
Chapter 1 代表的な倫理原則の批判113
Chapter 2 臨床倫理4分割表 批判116
Chapter 3 歴史法廷120
Chapter 4 哲学者会議123
Chapter 5 哲学者会議:ガイドラインとツールへの批判135
Chapter 6 その他の倫理原則138
Part 3 Deep Thinking 時代の診療録の書き方169
Chapter 1 方法172
Chapter 2 検討症例173
Chapter 3 基本方針:科学と哲学が融合したSOAP記載174
Chapter 4 症例1~3の診療録記載例175
Chapter 5 考察186
Part 4 AIによる臨床倫理検討会 カズイストリ187
Chapter 1 臨床倫理検討会188
Chapter 2 論文:医学的無益性が確定した救急搬送要請における倫理的 葛藤と解決203
Chapter 3 提案書:診療録(カルテ)の再定義217
終わりに 総合内科 15 年目の医師の判断力批判232
Appendix 臨床倫理 Deep Thinking チェックリスト234
索引236




