⑦急性腹症チャレンジケース―自己学習に役立つ18症例
「日本の高価値医療」シリーズ⑦
【序文より】
2015年に『急性腹症診療ガイドライン2015』が出版された.このガイドラインは,日本腹部救急医学会をはじめ,日本医学放射線学会,日本プライマリ・ケア連合学会,日本産科婦人科学会,日本血管外科学会と幅広い領域の学会が作成に関わっている.本書の特徴は,各疾患には言及せず,症状から診断,初期対応を解説した内容となっている点にある.治療を主とする臓器別専門医と異なり,症候を扱い診断・初療を行う一般内科医や外科医あるいは総合診療医の先生方にとって,日常診療に活かせる実践的なガイドラインと考えられる<.br> 今回,日常経験する腹痛患者さんの診療経過をガイドラインと突き合わせながら振り返ることで,このガイドラインの有用性について検証してみた.本書では,腹痛を主訴とした18症例を収載した.研修医と指導医の2名の対話形式で,ガイドラインを参考に臨床推論を進めていく.症例ごとに日常診療で遭遇しやすいpitfallを避けるための「Words of Acute Abdomen」を設け,さらに,症例の後半には,価値ある医療とは何か?そして陥りやすい低価値な医療とは何か?についても言及した<.br> 医学生や研修医はもちろんのこと,第一線で活躍されている勤務医や開業医の先生方にぜひご一読いただきたい.日々の診療に追われ,多忙を極めている先生方が多いと思われるが,さりげなく過ぎ去っていく日常診療の中で,われわれ医療者が提供すべき価値ある医療とはないか,について考える機会となれば幸いである.
目次
刊行のことば Ⅱ
序文 Ⅲ
Ⅰ Basic course
Case 1 炎症所見と腹水を伴う腸閉塞 -外科医に相談?2
Case 2 痩せた中高年女性の腹痛・嘔吐 -まずは下着を下ろせ?14
Case 3 笑いで増強する若い女性の右上腹部痛 -腹膜炎?28
Case 4 臥位で消失する右下腹部痛 -診断は?42
Case 5 前医で腸重積と診断 -緊急手術?55
Case 6 中年女性の右上腹部痛 -画像検査のfirstは?68
Case 7 腹部所見に乏しい持続痛 -急性胃腸炎?79
Case 8 妊婦の急性腹症 -さあ,どうする?90
Case 9 定期受診の呼吸器内科の患者さん -肺炎で緊急手術?102
Ⅱ Advanced course
Case10 虫垂切除術後も遷延する発熱 -本当に虫垂炎?118
Case11 繰り返す鼠径部痛 -原因は整形外科?循環器?外科?133
Case12 急激な腹水貯留を伴う腸閉塞 -原因は?144
Case13 ふらつき感を伴う右上腹部痛 -消化管出血?158
Case14 黄疸を伴う心窩部痛 -胆管拡張像がない?168
Case15 発熱,右上腹部痛を伴う多発肝腫瘤 -肝膿瘍?悪性腫瘍?178
Case16 Charcot3徴 -急性胆管炎?192
Case17 高齢者の突然の左上腹部痛 -急性心筋梗塞?202
Case18 腹膜刺激徴候の無い腹痛 -命に係わる腹膜炎?212




