⑥コミュニケーションと倫理のハイバリューケア―自己学習に役立つ23症例

「日本の高価値医療」シリーズ⑥

  • 著者:本村 和久
  • 定価:3,000円+税
  • 2020年5月7日 第1版第1刷 229ページ
  • ISBN978-4-904865-51-4 C3047

著者のことばより
本書のテーマは,簡潔に言えば「コミュニケーション」と「倫理」の2点である.本シリーズ「日本の高価値医療」の目的は,「高価値な医療High-value Careをもっとやってみよう」と「低価値な医療Low-value Careは改善しよう」である.しかし今回のテーマは,価値基準を簡単に二分できないテーマでもある.例えば,患者さんの意向を尊重することが高価値と私は思うが,親が子を諭すようなパターナリスティックなコミュニケーションを好む患者さんがいるのも事実である.倫理については,一般に,品行方正というイメージを持たれるかも知れない.しかし何か正しいと思われることをきちんと行うこと=倫理ではなく,現実の出来事をどう行えばよいのかをふりかえりつつ,次の行動を模索するのが倫理的な態度であると私は思っている.この態度こそ価値基準を示すのは難しい.
 このような序文を示すと,本書のテーマは「高価値」「低価値」を明示とする命題とは,相反するテーマに思われるかも知れない.それにもかかわらず,本書の執筆陣はどなたも,実臨床に基づき,この難題をわかりやすく提示し,インパクトのあるメッセージを伝えている.読者の皆様には,このメッセージ性こそが「高価値」であると読み進めていただければ幸甚である.
 難題解決に産みの苦しみが無かったわけではない.編集の壁を乗り越え,本テーマを纏めるまでにかなり時間を要したが,カイ書林編集者の粘り強い編集作業もあり,晴れて上梓となった.
 執筆された先生方,カイ書林の皆様に心より感謝申し上げます.

目次

第Ⅰ章 医療現場における臨床倫理
 1 延命治療と臨床現場2
 2 医療現場における臨床倫理サポート体制の構築9
 3 臨床倫理とナラティヴ32

第Ⅱ章 コミュニケーション困難ケース
 1 判断能力が疑わしいケースへの対応42
 2 旅行者への対応49
 3 認知症がある患者さんへの対応56
 4 高齢者の聴覚障害63
 5 非常に不安が強い患者さん71
 6 「自然の力で治したいのです」への対応77
 7 頻回に救急外来を受診する患者さんへの対応84
 8 複数の医療機関に受診歴のある慢性疼痛に出会ったら91
 9 怒っている患者さんの対応100
 10 予後を伝えられていない終末期の患者さんに対する対応108
 11 診断エラーがあったときの対応119

第Ⅲ章 倫理ジレンマケース:高齢者医療、終末期ケア
 1 気管挿管すべきか128
 2 心肺蘇生を行うか否か?136
 3 透析すべきか否か?142
 4 昇圧薬を使うか否か?151
 5 胃ろうを作るべきか159
 6 本人への予後告知を行うか否か?165
 7 終末期の貧血171

第Ⅳ章 倫理ジレンマケース:主治医の意向と他の医療者の意見の不一致
 1 総合診療医と専門医の意見の不一致182
 2 医師と看護師の意見の不一致190
 3 医療者に好意を持つ患者さんへの対応197
 4 医療者からのパワハラがある場合の対応204
 5 患者さんからの贈り物213

Index221