④糖尿病外来診療のハイバリューケア

「日本の高価値医療」シリーズ④

  • 著者:大久保 雅通
  • 定価:3,000円+税
  • 2018年4月26日 第1版第1刷 172ページ
  • ISBN978-4-904865-35-4 C3047

著者のことばより
 この度、「日本の高価値医療シリーズ」の一巻を、糖尿病外来診療をテーマとして発刊することになった。
診療所・クリニックの糖尿病外来には、日々様々な患者さんが来院する。大まかな病歴、基本的な身体所見、ある程度の検査データは得ることができても、病院の外来のように全てのデータが揃うことは少ない。生活面の指導だけを行うのか、経口血糖降下薬、時にはインスリン注射をすぐ開始するのか、病院の専門外来に紹介すべきなのか、その場で判断することを求められる。限られた情報をいかに有効に活用し、適切な診療に結びつけるかが重要なポイントであり、これはHigh-value Careの概念に通じるものであろう。
その一方で、十分なデータが揃っているのに、適切な治療が行われていないケースにも遭遇する。病態の解釈が誤っていれば、十分な効果に結びつかないのは当然である。さらに糖尿病診療では、患者の自己管理能力を高めることが必要であり、良好なコミュニケーションを維持するよう心がけなければならない。そのための努力を怠っていると、いかに新しい薬剤が使えるようになっても、その力を発揮させることは困難である。このような診療を漫然と続けることは、Low-value Careの誹りを免れないかも知れない。
このシリーズの趣旨に従って、糖尿病の日常診療で重要と思われるテーマを抽出し、編者が実際に経験した症例を著者に提示した。各症例の記載は、出来るだけ簡潔なものに留め、その解釈は著者の判断に委ねることとした。今回執筆を依頼したのは、編者が講演等で日頃からお世話になっている方々で、日常多くの糖尿病患者に接しているエキスパートである。難しい注文に関わらず、全ての先生方が快く執筆に応じて下さり、編者の期待をさらに上回る内容になったことに謝意を捧げたい。
読者の糖尿病診療のレベルアップにつながることを心から願うものである。

2018年3月吉日
大久保 雅通

目次

第1章 糖尿病の分類と診断
1 急激な血糖コントロールの悪化のため紹介を受けたケース 2
2 特徴的な身体所見のある,糖尿病・高血圧・脂質異常合併例10

第2章 糖尿病の治療
 1 食事療法・運動療法
  3 栄養相談を行っても減量が困難で,血糖コントロールも悪化した症例18
 2 経口血糖降下薬
  4 経口血糖降下薬を使っても血糖コントロールができない症例28
  5 食事指導で血糖コントロールが得られず,投薬が必要と判断した腎障害例36
  6 糖尿病型の耐糖能異常から急激な血糖上昇をきたした症例43
 3 注射薬
  7 適正な血糖コントロールを目指す過程で体重増加をきたした症例51
  8 SU薬にDPP-4阻害薬を追加してもコントロール不良の症例59

第3章 糖尿病の合併症
 1 低血糖
  9 低血糖で意識を消失し救急搬送された症例68
 2 慢性合併症
  10 進行した糖尿病網膜症で眼科より紹介された症例78
  11 無自覚性低血糖に対応して治療内容を変更した症例85
  12 定期的な心電図検査により冠動脈狭窄を早期に発見できた症例93
  13 下肢疼痛により歩行が困難になった症例100
  14 他疾患の精査目的で行ったCTで別部位にがんが見つかった症例108

第4章 ライフステージごとの糖尿病
  15 小児期からの肥満が解消しない若年2型糖尿病例118
  16 経口血糖降下薬で,血糖コントロール不良のまま妊娠した症例126
  17 インスリン自己注射が困難な高齢糖尿病患者134
  18 最近増加している,認知症を合併した高齢糖尿病患者142

第5章 その他の糖尿病
  19 関節リウマチに対しステロイド使用中の糖尿病症例152
  20 乳がん化学療法に伴い血糖コントロールが悪化したケース159

INDEX167