病院総合医の臨床能力を鍛える本
Generalist Masters 8
【著者のことばより抜粋】
本書は、後期研修を終えたばかりの時期に抱いた「適切な指導ができない歯がゆさ」と、「病院総合医の理想像とは何か」という問いに対する一つの回答として綴られたものです。
同じ志を持つ仲間たちと議論を重ね、病院総合医に必要な能力を具体化しようと試みた数年間の集大成となります。執筆当時は、若輩者が大それたことを書くべきではないと迷うこともありましたが、当時の院長からの「熟し切っていない時期だからこそ書けるものがある」という言葉に背中を押され、完成に至りました。
臨床の最前線で悩む若手医師が、本書を通じて自身の診療行動を整理し、解決の糸口を見出せる一助となれば幸いです。
2012年4月
洛和会音羽病院総合診療科
宮下 淳
目次
Introduction
1章 内科的診断能力を鍛える 診断に対する「型」を体得し,さらに理解を深めるために
1.診断推論とは
2.診断仮説形成
1.診断仮説形成の2つのステップ
2.診断仮説形成のどこに障害があるのか
3.その他の理論
3.診断仮説検証
1.確率とオッズ
2.検査前確率
3.決断閾値の設定
4.検査特性と検査の選択
5.検査後確率
Goal
章末付録:さまざまな変換キーワード
章末付録:検査確率と感度・特異度
2章 高齢者診療する能力を鍛える
1.高齢者医療の全体像
ステップ1:高齢者の生活機能評価を行う
1.医学領域
2.身体機能領域
3.認知/感情領域
4.社会/環境領域
ステップ2:高齢者の多様性を考える
ステップ3:高齢者の将来を見通す
1.生活機能曲線
2.余命分布をとりいれた予防的ケア
3.いつ「終末期段階の緩和ケア」に移行するのか
2.高齢者診療でみられる特有の問題
1.高齢者の転倒
2.高齢者の尿失禁
3.高齢者のせん妄
4.高齢者の認知症
5.高齢者のうつ
6.高齢者の飲酒
7.高齢者のポリファーマシー
8.高齢者の虐待
3.高齢者医療と倫理的問題
1.インフォームドコンセント(情報と同意)
2.終末期の経管栄養
Goal
3章 研修医を教育する能力を鍛える
1.若い指導医による研修医の指導
1.研修医を指導するための方法論
2.若い指導医の具体的な役割
2.コミュニケーションスキル
コミュニケーションエラーとは
コンテクストとは
1.話を聞くテクニック
2.話し合いの中から意見を聞き出しフィードバックするテクニック
3.指導者として論理的に間違いを正すテクニック
3.研修医指導の実際
1.屋根瓦式チーム医療
2.カンファレンス
3.当院の教育における問題点
Goal
4章 患者の安全を担保する能力を鍛える
1. 医療安全の分野に出てくる用語
1. エラー,過誤,ミス
2. 有害事象,医療事故
3. 過失
4. バイアス,誤謬,ヒューリスティック
2. 薬剤に関連するエラー
1. どれくらいの頻度で薬剤関連のエラーが生じているのか
2. 薬剤関連エラー防止の取り組み
3. 診断に関連するエラー
1. 認識の落とし穴を知る
2. 診断関連エラー防止の取り組み
Goal
5章 科学的根拠を「正しく」利用する能力を鍛える
1. Evidence Based Medicineの実践
ステップ1:疑問の定式化
ステップ2:エビデンスを探す
1. Summaries(要旨)
2. Synopses(概要)
3. Syntheses(統合)
4. Studies(一次研究)
ステップ3:探し出した医学文献を批判的に吟味する
1. 論文の構成を知る
2. 結果は妥当か
3. 結果は何か
4. 結果は患者に適用できるか
2. EBMとNBMの先にあるもの
Goal
章末補足:診療に根ざした研究に携わる能力
引用文献
Index




